示談は、被害者救済の面からも、あるいは加害者側の誠意が、その事故に対する後悔を意味するものとして、刑事裁判所でも掛酌しなければならないことになります。
それにしても、どんな大きな交通事故を起こしても、示談さえできていれば、必ず執行猶予になるのだと独断している人をときどきみかけます。
こんな加害者は、ときに失望することがあるかもしれません。
◎遺族の感情を和らげる努力が大切ところで、示談には、技術とか、駆け引きが必要なことは認めますが、中心はやはり誠意だと思います。
こんな例があります。
事故を起こした数日後に、被害者との間で、早くも示談が成立し、加害者側は賠償金を分割して毎月支払うという約束をしました。
ところが、加害者側は初めの二か月間だけ支払いを履行しただけで、後はナシのつぶてです。
こんな示談は、被害者をペテンにかけたようにも思われ、示談ができているがゆえに、かえって裁判官には余計に悪見られるかもしれません。
また、いったんできた示談が、何らかの事情で、その後こじれ出すこともあります。
このことからも、示談は早いばかが良いとも限らず、その示談内容は慎重にしっかしたものを作る必要があるようにも思われます。
さらに、示談とはちょっと違いますが、事故を起こした加害者側は、被害者や遺族の感情を和らげるように努力することも大切です。
たとえば、病院へ見舞いに行った、お墓にお線香をあげたりして、被害者やその遺族に誠意を見せることです。
もし、加害運転手が自分で行くとまずい空気になるおそれがあれば、雇主とか家族の者が代わに行くなどして、誠意をもって謝罪することは必要だと思います。
日本人はウェツな国民ですから、案外このようなことが大事なので、示談は金銭を支払うだけとドライに割切ることはできないように思います。
先頃、交通事犯の刑事裁判の法廷で、道路を通行中にはねられて死亡した被害者の親を、証人として調べたのですが、「事故を起こした運転手を、どう思っていますか」と開いたところ、その親は、「もし許されることなら、そこにいる運転手を私の手で擦き殺してやりたいと思います」と答え、法廷内の空気が、一瞬凍付ようでハッとしました。
被害者側の感情が、こんなにとがってしまったのは、それまでの加害者側の対応や示談交渉の過程にいろいろと理由があるのですが、それにしても加害者側としては、こんなことにならないよう努力すべきでしょう。
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※情状酌量による減刑六六条(酌量減軽)犯罪の情状に酌量すべきものがあるときはへその刑を減軽することができる。
六八条(法律上の減軽の方法)法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
S刑罰の執行猶予二五条(執行猶予)次に掲げる者が三年以下の懲役若しくはは禁鍋叉は五〇万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状によりへ裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間へその執行を猶予することができる。
1前に禁鏑以上の刑に処せられたことがない者。
二前に禁銅以上の刑に処せられたことがあってもへその執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁鍋以上の刑に処せられたことがない者。
2前に禁銅以上の刑に処せられたことがあってもその執行を猶予された者が1年以下の懲役叉は禁鍋の言渡しを受けへ情状に特に酌目要すべきものがあるときも、前項と同様とする。
ただしへ次条第一項の規定により保護観察に付せられへその期間内に更に罪を犯した者についてはへこの限りでない轢き逃げのときの刑事罰はどうなるか先日、私は友人の車を借りてドライブに出かけました。
その帰途、仲間と酒を飲みへ酔いのさめないまま、いい気持ちで運転していたのですが、路地から急に子供が飛び出してきて、その子供にケガをさせてしまいました。
とっさに見つかるとうるさいと思ってしまい、子供をそのままに現場から逃げ出してしまったのです。
取締当局は、私のような違反者をどんな方針で扱っているのでしょうか。
擦き逃げは一番悪質な犯罪のTつ犯罪の性質からみて、一番悪質と考えられるのは「無免許」と「酔っぱらい」と「挫き逃げ」でしょう。
わが国の道路事情は悪いので、運転者の心がけだけで交通事故を減少することはできませんが、右の三つの罪だけは、運転者の心がけ次第でなくすることができるはずです。
しかし、右の三つの罪のどれか1つと交通事故が結びついた場合、絶対に執行猶予が付かないのかというと、そうではなくて、執行猶予の付いた例も相当あります。
事件によっては、三つのうちの二つと交通事故が結びついていても、執行猶予になっている例があります。
ところが、これらの三つの全部がそろっている場合、弁護士も本人も相当の努力をしなければ執行猶予にはならないでしょ、つ。
しかし、いわゆる三冠王になりたなければ、要するに事故現場から逃げなければよいのですから、簡単といえば簡単です。
○逃げると有利な立場は失われる加害者が無免許で、かつ酔っぱらって起こした事故の中には、歩行者が信号を無視したため事故が起きたとか、車の前に急に飛び出したためとか、被害者側の過失の方が加害者に比べて大きい事件はいくらでもあります。
ところが、事故現場から逃げたことによって、運転者側の有利な立場はすべて失われてしまいます。
とにか、交通事故を起こした運転者の最後の頼みの綱は、現場から逃げないということだと思います。
前にも言ったように「未必の故意」によっても挫き逃げの罪は成立するのですから、運転中に何かとぶつかったような音がしたら、一応は止まってみましょう。
気づかずに事故現場を立ち去った場合でも、摸き逃げの罪に問われることになるからです。
無免許運転にも、いろいろあります。
たとえば、車の構造もろに知らぬのに操縦装置をいじって暴走させた事件から、運転免許試験に合格して、免許証の交付を待ちきれずに、車で家の周りを一回りしているうちに起こしてしまったという事故もあります。
また、酔っぱらい運転には、ぐでんぐでん型、やけっぱち型、それに自信過剰型などがあります。
中でも、一番数の多いのが自信過剰型でしょう。
この型が、一番罪が軽いようですが、必ずしもそうではなく、ときには、とんでもない大事故を起こすことになります。
この型の人は、おおむね本来は立派な社会人であり、運転の腕も確かなように見受けられることが多いのですが、事故の結果があまり重大だと、厳罰を言い渡されることになります。
交通違反だけで懲役刑になるときは交通事故を起こすと懲役刑になることがありますが、交通違反だけのときは、すべて罰金ですむものと思っていました。
ところが、交通違反でも懲役刑になることがあると聞かされ驚いています。
どんな場合に懲役刑になりますか。
車無免許運転を繰り返すと懲役刑になる交通事故を伴わない交通違反につ小ては、道路交通法によって、ほとんどが二〇万円以下の罰金ですまされます。
この罰金額をどう決めるかが問題ですが、たとえばスピード違反なら何キロ超過したか、過去に交通違反の前歴がどれくらいあるか、などを掛酌して決められます。
無免許運転や酔っぱらい運転など悪質な違反を繰り返すと、検察官は、もはや罰金では効き目がないと認めて、地方裁判所へ起訴し、懲役刑を求めます。
事故を起こきなくても、無免許や酒酔いなどの交通違反を繰り返しただけで、懲役四か月とか五か月とかの実刑の言渡しを受ける人もあります。
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